【スタートアップ深層】BLender - 融資審査を全て自動化したP2P&ダイレクト・レンディングプラットフォームを開発

March 20, 2020

毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。 

 

今回は、BLender 社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。 【後編:GuardKnox - ジェット戦闘機のメソッドを自動車のサイバーセキュリティに応用】はこちら

 

 

※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2020年3月にJETRO Innovationに掲載されました。PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。

BLender(http://blender.global/

Mr. Gal Aviv(CEO)

 

 

ローン審査を極限まで自動化したプラットフォームを開発し、既に40万人が利用

 

 BLender社(以下:BLender)は、P2Pおよびダイレクト・レンディングのプラットフォームを開発しているフィンテック企業だ。2014年に創業し、既にイスラエルをはじめ、イタリア、リトアニア、ラトビアなどの欧州圏でサービスを展開している。同社の特徴は、借り手の身元証明から支払い能力まで、ローン審査を極限まで自動化した点にある。これにより、審査に要する時間が大幅に減少し、誰でも24回から36回までの分割払いを選択することができる。他方、販売店舗側はただちに支払い金額全額を得ることができる。

 

 一般的に、一般消費者が融資を受ける際には、人の手による審査が行われるが、BLenderでは審査のほぼ全てが自動かつ無人で行われる。借り手は、スマートフォンなどのデバイス上でいくつかの質問に答えるだけで審査が完了する。同社は、消費者金融のインフラが十分に整備されておらず、融資サービスが行き届いていない地域をターゲットに、小売事業を営む店舗などが簡単に導入できるレンディング・プラットフォームを展開している。

 

 今回は、BLenderでCEOを務める Gal Aviv氏に取材を行った。

独自のアルゴリズムで借り手の不正や返済不能をほぼゼロに抑えることに成功

 

「弊社は、サイバーセキュリティの観点から非常に強力なプロダクトを開発しました」と語るAviv氏は、量子コンピュータの研究でナノ物理学の博士号を持つ。その後VCでの投資経験等を経てBLenderの創業に至った。さらに、CTOをはじめ創業メンバーの多くが、物理学の学位を取得している。Aviv氏によると、同社のサービスの土台には、複雑な数学モデルがあると言う。

 

 

 

  「融資審査では、主に2種類の要素を分析します。1つ目は、借り手の支払い能力(ability to pay)に関する要素で、これは多くの金融機関で長い間用いられています。2つ目は、支払う意思(willingness to pay)に関する行動的な要素で、同社がビッグデータの解析などを用いて独自に開発している指標です。この2つの要素に関わるデータをより正確に集めて融資モデルを構築することで、不正や不払いに陥るリスクを他社よりも下げることに成功しています(同氏)。」

P2Pのレンディングプラットフォームやクラウドレンディングを実現

 

 BLenderは当初、イスラエル国内のP2Pレンディングプラットフォームをコア事業としてサービスを開始した。P2Pレンディングは、銀行などの機関を通さずに借り手と貸し手が繋がり、直接貸し借りを行えるサービスで、同社が高精度な自動審査アルゴリズムを開発できたからこそ実現したと言える。さらに、水力発電所といった大規模事業の建設費用を一般市民から募るクラウドレンディング事業を開始した。

 

 現在、P2Pのレンディング・プラットフォームはイスラエル国内への展開に留まる。他方、欧州圏内では金融機関と提携を結び、小売店舗などが簡単に導入できる分割払いサービス(BLender Pay)を提供している。金融サービスが行き届いていない地域をターゲットに展開していく狙いだ。

日本の金融機関とタッグを組み、アジア地域への進出を狙う

 

 BLenderは、自動審査アルゴリズムやモバイルアプリ上で手続きが完結するエンドツーエンドのサービスをホワイトラベル化し、他の金融機関に提供している。「すでに、南アジア圏内の金融機関に対してサービスを提供しています。弊社の仕組みは3ヶ月程度で導入可能な上、既存のシステムとの接続もスムーズに行うことが可能です」とAviv氏は述べた。南アジア・東南アジア地域へのさらなる進出のために、同社は日本の金融機関とパートナーシップを結ぶ機会を模索している。

 

 「アジアには、一般消費者向けの金融サービスが行き届いていない地域がまだ多く残っています。一方で、これらの地域はGDP成長率が高く、中産階級の拡大に伴って消費の原動力へと成長していくことが期待できる大きな市場でもあります。日本企業とタッグを組むことで、より迅速な事業展開が実現できると期待しています(同氏)。」

CEOから日本企業に向けたメッセージ

 現在、金融業界は時代の転換点に位置しており、新規事業の機会に溢れています。この転換点において、日本は重要なポジションにあると言えるでしょう。強力な経済を持ち、南アジア・東南アジアの国々から評価されていて、これらの国をリードすることができる立場にあると思います。日本企業とのコラボレーションを実現させることは、弊社の成長戦略においても重要な意味を持つのです。

 

◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。

◆ PDF版の記事ダウンロードはこちら

◆ 3月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。

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