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変化が求められる法律業界におけるリーガルテックの可能性

February 20, 2018

 

今週のブログは気になるニュースがあったので、それについて言及したいと思う。

 

「弁護士はコンピュータに置き換えられる次の職業かもしれない」

”Lawyers could be the next profession to be replaced by computers”(CNBC掲載記事)

 

技術から一番程遠いと言われている法律・弁護士業界のIT化である。私もしばらくこの世界に身を寄せていたが、なんて非効率な世界なんだろうといつも感じていた。

 

もともと理系が苦手な文系の人間が手に職をつけるという意味で活躍できる分野であるがゆえに、一生安泰の仕事かのごとく捉えられてきたのだろう。コンピューターや電子頭脳が取って代わる世界を身近なものとして想像していなかったのではないだろうか。

 

ただ私は米国の法律事務所Sidley Austinで働いていたころ、テクノロジーが法律家の仕事に大きな影響を与えるということを顕著に感じていた。今は多少変わっているかもしれないが、当時はITリテラシーの低い人たちが多かった。若手弁護士や法務担当が行う業務といえば、「作業」や「雑用」にあたるようなものが多かったが、ちょっとしたテクノロジーで工夫すれば効率や精度をあげられるのである。

 

当時のことを思い出しながら例を挙げてみよう。

 

シカゴにある本法律事務所は1500人近くの弁護士が働いているメガファームで、当時毎年30人~40人の新人弁護士を採用していた。こうした事務所に入所すると、一年目から個室と秘書とパラリーガルを割り当ててもらえる。それが意味するのは、自分で案件を取り彼らを養っていかなくてはいけないということだ。さらに言うと、コピー代や電話料金などの経費もクライアントに紐付かないと自分の給料から差っ引かれていく仕組みであった。

 

当然、新人弁護士は案件をパートナーから与えてもらうのにものすごい熾烈な戦いをするのである。私がこれを知ったのは入所して2週間経ったあとだった。それまではいつになったら仕事をふってくれるんだろうと、ぼーっと個室で待っていたのだ。入所して2週間経ち、同期が案件をまわし始めて色々と聞いているうちにようやく状況を把握した。とは言え、パートナーにどう売り込みにいけばいいのかも分からず、焦る気持ちでいっぱいになっていた。

 

そんな矢先、書類のプリントアウトに困っている先輩弁護士をひょんなことから助けた。するとそこから「あいつはITに強いLawyerだ」という評判が広がった。書類のプリントアウトができない、MicrosoftのOfficeの使い方がわからない、書類の最適なPDF化方法が分からない、などと困るたびに声をかけられるようになったのだ。挙句の果てにはプリンターが壊れていると呼ばれ、機器を開けて直す羽目になったことも。なんてテクノロジーに弱い人たちだとしみじみ感じたものだ。

 

ある日、ついにパートナーから呼ばれた。大きな買収案件のデューデリジェンスをやるので、長期でニューヨークへ出張してほしいと言われ、初案件をゲットしたのだ。M&Aのデューデリジェンスと言うと響きは格好いいが、新人弁護士の仕事は地味なものである。一日中莫大な法人設立登記書類や契約書に全て目を通して、キーになる事柄を一つずつデータ登録していくのである。たしか新人弁護士5人がかりでの作業だったはずだ。しかも、蓋を開けてみると打ち込み用のツールが簡素なエクセルでそのままでは集計にも使えないものであった。

 

始めて早々にこれはツール自体改善しないと永久に終わらないと思った。そこで、マクロを組んでデータベース化できるようにツールを改良し、PDF化したドキュメントもそのデータベースに添付できるようにした。これには皆びっくりして喜んでくれたのをよく覚えている。むしろ個人的には「何でこんなものですら作らないんだろう…」と思ったものだが、それこそがITリテラシーの違いなのだろう。その後は「テックに強い」と言うのが定評になり案件がどんどん転がりこんできた。

 

このように法律業界は技術の力を十分に活用できずに成り立ってきた。同時にまだまだ技術の力で進歩し、既存の仕組みや方法ががらっと変わる余地があるということもお分かりいただけるだろう。

 

新人弁護士や法務担当が行う単調な作業のみならず、今の技術進化をもってすれば契約書作成や訴訟関連の業務も十分コンピューターでこなせてしまうように思う。仮にもしコンピューターが活用されれば、訴訟や揉め事に関する判断は確率論で対応できるようになるのではないだろうか。リスクが実際に顕在化する可能性を過去の事例から数値で割り出し、その企業や個人がどれだけリスクを取るか判断する材料として提供するのだ。もしかすると、そこで発生しやすい傾向にあるリスクが明確になることで、それに対する保証サービスなどの新たな事業を生み出すきっかけとなるかもしれない。

 

リーガルテックの分野はこれまで見過ごされてきたニーズや課題が多く、まだまだイノベーションの起こる可能性が溢れている。Jakoreでもイスラエルのリーガルテックには常に目を向けているので、面白い情報があればぜひみなさんにも伝えていきたいと思う。

 

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