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【スタートアップ深層】Routier - ホスピタリティ業界を変革する総合ソリューションを実現

 毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。


 今回は、Routier 社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。

【前編:Griiip - モータースポーツ業界における世界初のV2Vソリューション】はこちら


※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2021年1月にJETRO Innovationに掲載されました。PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。

 

Mr. Gal Bareket(CEO)


◆ ホテル業界を変革するホスピタリティ・ソリューション


 Routier 社(以下: Routier)は、ホテル業界における顧客体験とオペレーション業務効率の向上のための総合ソリューションを提供する。


 宿泊客とホテルスタッフのコミュニケーションを円滑にし、スタッフ対応をスムーズにすることで顧客体験を高め、サービススタンダードとブランド力の向上を支援する。


 今回はイスラエルの8200 部隊(軍の諜報部隊)出身でもある創業者兼CEOのGal Bareket氏に取材を行った。

 

◆ ホテル運営のオペレーション非効率を総合的に解決する


 「8200部隊は情報の伝達に専門を置きます。そのため退役後は、ホスピタリティ業界におけるコミュニケーションの非効率に目を付けました。」と Bareket 氏は創業の際の着眼点を述べた。


 同社の提供するプラットフォームは三つの要素 から構成される。一つ目は、AI ボットによるモバイルコミュニケーションだ。施設利用客は、新たにアプリをインストールする必要もなく、自らの端末からテキストメッセージやSNS (Instagram/Twitter/Facebook/LINE 等)の好みのチャネルを用いて宿泊施設のスタッフとコミュニケーションを取ることができる。AIボットによって抽出された顧客の要望はリアルタイムで対応可能なスタッフへとアサインされる。


 次に、宿泊施設のマネジメント側で管理するダッシュボード機能がある。既に宿泊施設側に導入されている予約システムやCRMへ組み込むことに より自動的に顧客の情報を抽出することができる。オペレーションツールとしてこの機能を使うことで、運用の全体管理・自動化を可能にする。そして最後に、複数のホテル・旅館チェーンを運営するコーポレート側が各施設の状況をモニタリングするための管理システムも搭載する。


 「これまでのホスピタリティ業界向けソリューションは、顧客側のみ、またはオペレーション側のみの単一的なニーズ(オムニチャネル、オペレーションに限定した効率化など)にしか対応してきませんでした。弊社の強みは、包括的かつアジャイルな総合ソリューションによって運営全体を効率化し、さらに各宿泊施設の運営方式にカスタマイズすることが可能な点です。」と同氏は述べる。

図1AIボットによるメッセージの例(同社提供)

 

◆ グローバル展開の先に見据えるホテル業界のニューノーマル


 同社は既に欧米、アフリカ、南米大陸などに展開をしているが、2021年以降はアジア太平洋地域への進出拡大を図る。そのために現在、シンガポール・インド・インドネシアなどの国において、各業界で有力なディストリビューションパートナー、ソフトウェア企業と提携し、多言語対応のシステ ム導入を進めている。


「従来の業務効率化システムの導入には、現場で何日間にも亘る従業員への操作研修が必要です。しかし、弊社のプラットフォームは宿泊施設の既存システムに組み込むため、スムーズな適合が可能です。従業員への研修も約30分ほどで終えることができます。」と同氏は述べる。グローバル展開においても、導入スピードの速さとカスタマイズが可能な柔軟性が強みとなっており、膨大な人員を要する旅館・ホテルサービスの少人数運営を可能にし、同時にITによる”タッチレスで安心な滞在” を実現する。


「弊社ソリューションの目的は宿泊客とスタッフの交流をデジタルによって代替することでなく、オペレーション業務を効率化することにより、来客者へのおもてなしが必要なポジションへ人員を効果的に配置し、人による接客とデジタル化の融合を実現することです。コロナによるホスピタリティ 産業への危機を乗り越えた末に、旅行・ホテル業界が新しく進化した形で戻ってくることを願っています。」と事業の目指すビジョンに触れ、同氏は話を締めくくった。

 

CEOから日本企業に向けたメッセージ

 日本は常に先端テクノロジーを牽引し、イスラエルは資源の少ない中でのイノベーションを推進してきました。弊社のソリューションはオペレーションの効率化、顧客体験の向上、ホテル業界のデジタル化、新たな収益源の確保を支援します。私は、テクノロジーに ボーダーはないと強く信じており、特に旅行業界において、日本の皆様とコラボレーションができることを心から待ち望んでいます。

− Gal Bareket 氏



◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。

◆ PDF版の記事ダウンロードはこちら

◆ 1月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。


【前編:Griiip - モータースポーツ業界における世界初のV2Vソリューション】はこちら

 

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