【スタートアップ深層】Resonai - 管理業務の効率化と新たな収益源をもたらす AR プラットフォーム

毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。

今回は、Urban Aeronautics 社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。 【前編:Urban Aeronautics - 「空飛ぶ車」で移動手段の未来を創る】はこちら

※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2020年10月にJETRO Innovationに掲載されました。PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。

Resonai(https://www.resonai.com/

Mr. Emil Alon (CEO

管理業務の効率化と新たな収益源をもたらす AR プラットフォーム

 Resonai はエンタープライズ向けの包括的な AR プラ ットフォームを提供するソフトウェア「Vera」を開発し ている。企業は、オフィスや不動産物件の 3D データを 「Vera」にアップロードすると、すぐに AR 機能が有効 になる。また、用途に応じて様々なアプリケーションを 作成・導入することができ、AR を用いたナビゲーション システムや業務研修システムなどを簡単に構築可能だ。

 今回は、同社 CEO の Emil Alon 氏に取材を行なった。シリアルアントレプレナーでもある同氏 は、Resonai に先行して創業した企業を、VR デバイスを開発する Oculus VR(現在は Facebook Technologies, LLC の一部門)に売却した経験を持つ。

商業施設へ導入された結果、修理作業全体の所用時間を 4 割削減

 「Vera」は既に、オフィスや商業施設などのビルマネジメント ・システムを透明化・効率化する 目的で導入が始まっている。施設内で、例えば電気がつかないなどの不具合が生じた際、現場で発見 したスタッフが施設管理の担当者に報告し、修理担当者に指示を出す必要がある。電話越しに口頭で 状況を説明したり、修理担当者が診断のために現場を何度も往復する必要が生じたりと、実際の作業 に着手するまでに時間がかかっていた。

 一方、 「Vera」と連動した AR アプリを用いると、連絡・報 告のフローと指示・道案内のフローに必要な工程を大幅に削減 することが可能だ。具体的には、まず、現場スタッフが、スマ ートフォンのカメラで問題箇所を撮影し、不具合を報告する。 施設管理の担当者は、写真に紐づいた位置情報から問題が発生 している場所やその状況を瞬時に把握することができる。修理 担当者は、図1 のような AR ナビゲーションのサポートを受け ながら、迷うことなく現場に到着する。さらに、配線や配電盤 の位置といった修理に必要な情報が AR マップ上に表示される ので、スムーズに作業を始めることができる。


 「ビルマネジメントにおいて、最も時間がかかるプロセスは報告とナビゲーションです。 「Vera」を活用することで、この 2 つを円滑化することができます」と Emil Alon 氏は述べた。実 際、6,000 以上の店舗を抱え、月に 1,500 件の修理依頼が寄せられるモスクワ・ワールドトレード センターでは、「Vera」の導入により、修理依頼から作業終了までに必要な時間を 44%削減するこ とができた。

図 1. AR ナビゲーションアプリの様子 (Credit: Resonai)


企業の中で眠っているデータを AR で呼び覚まし、新たな収益源をつくる


 Resonai が開発するサービスは、マネジメント業務を効率化するだけでなく、新たな顧客接点を生 み出し、企業の収益源を多様化する。例えば商業施設であれば、陳列されている商品にカメラをかざ すとオススメ情報や類似商品の情報が表示されるといった機能や、店内でアバターが動き回る AR ゲ ームなどを、同社が提供する SDK を用いて開発することができる。

 現在、リアル店舗では、商品が購入されてはじめて収益につながる。消費者は気になる商品を見つ けても、すぐにインターネットで検索するため、店舗はそのデータを活用する機会を損失していると Emil Alon 氏は考えている。「検索によって生じた消費者の『アテンション』は、例えば Web 広告 という形で、インターネット企業の収益となっているのが現状です(同氏)。」こういった課題意識 を背景に、商業施設に限らず、オフィスビルやマンションなどの物理的な設備を介して、ユーザーと 管理者がバーチャル空間上でも接点を持つことができるプラットフォームが誕生した。

 同社のプラットフォームで新たな収益モデルを模索している企業の中に、日系の建設企業があると いう。これまでは、建築物の竣工までが建設企業の最大の収益源であったが、同社の AR 技術と組み 合わせることで、ビルの中に「眠った」情報を、新たな収益に変えることができるかもしれない。建 設企業が所有している、間取りや日当たり、配線・配管の情報、設備の耐久性といった知的財産を AR 技術と結びつけることで、ビルの管理会社やテナント企業にとって活用しやすくなる。同社は今 後、建設企業や商業施設・オフィスビルを保有・管理している不動産企業とパートナーシップを結び ながら、同社のプラットフォームを拡大していく考えだ。

CEOから日本企業に向けたメッセージ


 現代は、物理世界と情報世界を統合する時代です。物理的な施設 やサービスを諦めるのではなく、IT と共に発達してきたメディアコ ンテンツの可能性が物理世界と結びついた、新たな顧客体験を追求 するときが来ました。これが、ユーザーとのやり取りにおける新た なスタンダードになると考えています。

− CEO の Emil Alon

◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。

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◆ 10月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。

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