2019年第1四半期 イスラエル国内の 企業買収総額は105億米ドルに到達
2019年4月は日本政府による新元号「令和」の発表とともに始まった。徳仁親王が天皇に即位する5月1日に施行され、新たな時代が幕を開ける。
安倍晋三首相は記者会見で新元号には「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」と述べ、「厳しい寒さの後に見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が希望とともに花を大きく咲かせることができる日本でありたいという願いが込められている」と続けた。
イスラエル国内のスタートアップ・エコシステムは安倍首相の言葉を借りれば「厳しい寒さの中でも咲き誇って」おり、Mellanoxの巨額のイグジット(NVIDIAにより69億ドルで買収)を含めると第1四半期の買収総額は105億ドルを超える。
Mellanoxのイグジットを無視しても、デジタル・トランスフォーメーションでサポートを必要とするMcDonaldやWalmartのようなアナログ企業や、革新的なプロダクトによってデジタル優位性を高めたいGoogle、Amazon、Palo Alto NetworksのようなIT大手など、米企業による買収は継続的に行われている。
表1:米国とイスラエル間の取引
米国の後ろを中国企業が追っている。ARインフラ関係のスタートアップを買収(金額は非公表)したAlibabaは、AppleやMagic Leapなどの米企業に対抗すべく革新的な新技術を探してイスラエルのスタートアップに目を光らせている。
その他にも従来型の自動車関連企業TUS Internationalがコネクテッドカーのソリューションを取得するために通信関係の企業を買収した。
表2:中国とイスラエル間の取引
米中両国の陰に隠れているものの、韓国企業Samsungによる画像処理関連のスタートアップ買収は見逃せない。これには(自動車やモバイル端末向け)カメラの機能を強化してサードパーティサプライヤーへの依存を減らす狙いがある。
また、イスラエルのセキュリティ会社RAFAELは同国の無人航空システム企業を買収した。
表3:イスラエルと韓国間(および国内)の取引
スピードを重視する企業:
2019年第1四半期の買収チャートをリードしたのはNVIDIAを筆頭とする半導体業界だった。市場を主導しているのはスピーディーで長期的な戦略を持っているIT企業であり、動きの遅い企業の待つほど市場はのんびりとしていないようだ。
また、イスラエル市場でデジタル・トランスフォーメーションのサポートを探しているアナログ企業の姿もある。
買収企業の拠点国の内訳 (2019年第1四半期) は次のグラフの通りである。
最後に再び安倍首相の言葉を借れば、厳しい寒さの中でもグローバル企業による買収が活発なイスラエル市場は、90年代以降、経済成長の低迷という長く厳しい寒さに耐えてきた日本企業が大きく花を咲かせるのに最適な地と言える。世界有数のイノベーティブな経済大国、日本の企業によるイスラエル企業の買収が加速することが期待されている。
日本とイスラエル両国が互いに深く寄り添うことができれば、ともにイノベーション文化を育むことができるだろう。
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