【スタートアップ深層】Urban Aeronautics - 「空飛ぶ車」で移動手段の未来を創る

毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。

今回は、Urban Aeronautics 社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。 【後編:Resonai - 管理業務の効率化と新たな収益源をもたらす AR プラットフォーム】はこちら

※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2020年10月にJETRO Innovationに掲載されました。PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。

Urban Aeronautics(https://www.urbanaero.com/

Mr. Rafi Yoeli (Founder & CEO

「空飛ぶ車」で移動手段の未来を創る

 Urban Aeronautics は、誰もがどこにでも飛んでいける 未来の実現を目指し、水素燃料で稼働する「空飛ぶ車」を開 発している。同社が現在、製品化に向けて最も力を入れてい るフラッグシップモデルの「CityHawk」は、一般的な自動 車と同じサイズを維持しつつ、パイロットを含め 6 名が乗 車可能だ。さらに、開発段階の次世代機「Falcon-XP」で は、パイロットを含めて最大 14 名を収容可能にする計画だ。

 今回は、創業者であり CEO を務める Rafi Yoeli 氏に取材を行なった。

 同社の最大の特徴であるプロペラ内蔵型の機体の開発には、長年にわたりイスラエルの航空産業に 従事した経験と技術が不可欠だったと同氏は述べた。プロペラなど、飛行や走行に関わる全ての部 品・機能を車体の内部に収めるためには、新しい設計思想を打ち立てる必要があったという。プロペ ラが車体に内蔵されることで、空気と車体の間のエアロダイナミクスが大きく変化するからだ。開発 は苦労の連続だったが、結果としてゆったりとした大きさのキャビンと、静音化を実現した。

競争が加熱する「空飛ぶ車」の中で一線を画する「プロペラ内蔵型」

 Urban Aeronautics が開発する「空飛ぶ車」は、垂直に離着陸ができる電動の航空機(eVTOL) というカテゴリーに属している。人が乗ることを前提とした「空飛ぶ車」のカテゴリーでは、世界で 150 社以上がしのぎを削っている。その中でも、ローターと翼がなく、プロペラも車内にすっぽりと 収まる設計(図 1)の「CityHawk」は、他社と一線を画するという。


 「利便性および安全性の 2 つの面で弊社は独自の強 みを発揮しています。まず、機体サイズが小さく、ど こからでも離発着可能です。現在の VTOL の多くは、 プロペラや翼が大きく、ヘリコプターと同程度かそれ 以上の離発着スペースが必要です。また、人や物が多 い都市部で飛行する場合を考慮すると、プロペラ内蔵 型の方が安全面でも優れています」と Rafi Yoeli 氏は 述べた。


 また、同社はアメリカ連邦航空局が定める航空輸送の安全基準を全て満たしており、法規制面での 参入障壁はほとんどないという。

図 1. CityHawk(同社 HP より)


実用化の鍵は、1航空救急・レスキュー、2タクシー、3VIP 専用車


 Urban Aeronautics が「CityHawk」によって開拓を試みている市場は主に 3 つある。狭いスペー スでも安全に離発着できることから、救急現場に最接近することができる次世代のドクターヘリとし て期待されている。また、高いホバリング性能を備えているため、災害時の捜索やレスキューへ応用 可能だ。一方、民間利用では、ヘリコプターと比較して、騒音レベルも低く、乗務区画を大きく取る ことができるため、本当の意味で「ドアツードア」に人を運ぶことができるタクシーや要人専用車が 実現できると Rafi Yoeli 氏は考えている。

 同社は現在、量産化に向けた最終段階にある。量産にあたり、航空産業の事情をよく知る現地企業 と戦略的なパートナーシップを結ぶ考えだ。「大局を見て野心的に行動することができ、常識が根底 から覆るほどの革新的な変化を楽しむことができる、そんな企業を探しています(同氏)。」

BLender社CEOのGal Aviv氏

CEOから日本企業に向けたメッセージ


 Urban Aeronautics が目指す先は、かつてウォークマンが音楽体 験に革命をもたらしたような革新的な変化です。幸いにも、現代 は、物理的に遠く離れていても簡単に対話することができます。こ れからのモビリティをどう変化させていきたいか、ぜひ私たちと対 話の場を設け、協業のあり方を模索していきましょう。

− CEO の Rafi Yoeli 氏

◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。

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◆ 10月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。

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