【スタートアップ深層】Sternum - IoT デバイスを内側から保護する「オンデバイスセキュリティ」

毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。

今回は、Sternum 社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。 【後編:Enroute - 電車やバスの乗車時に買い物をすると運賃が値引きに】はこちら

※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2020年11月にJETRO Innovationに掲載されました。PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。

Sternum(https://www.sternumiot.com/

Ms. Natali Tshuva (CEO

IoT デバイスを内側から保護する「オンデバイスセキュリティ」

 Sternum は 2018 年に創業し、IoT デバイスのサイバーセ キュリティソリューションを開発・提供しており、2020 年 9 月には、シリーズ A で 650 万ドルの資金調達を完了した。 同社のソリューションは、リアルタイム脅威判定とデバイス の保護技術に加えて、クラウド上で IoT デバイスを一元管理 できる SaaS プラットフォームの 2 つに大分される。

 近年、様々なデバイスがインターネットに繋がるようになると同時に、外部からの不正なアクセス をはじめとしたセキュリティ面での課題が顕在化している。同社が開発するプラットフォームの強み は、セキュリティプログラムが IoT デバイスのソースコードに「埋め込まれて」いる点にある。この 技術により、IoT デバイスへのサイバー攻撃をリアルタイムで対処することが可能になった。


 今回は CEO の Natali Tshuva 氏に取材を行った。

サイバーセキュリティ領域での経験と医療への志で困難な課題に挑む

 Sternum の創業の背景には、サイバーセキュリティと医療という 2 つの異なる領域への熱意が あった。創業者である Natali Tshuva 氏は、イスラエルの徴兵制度では諜報部隊にあたる 8200 部隊 でサイバーセキュリティ領域の業務に携わった後、モバイル端末向け犯罪捜査用ソリューションを提 供する Cellebrite 社で経験を深めた。同時に、医療分野に従事したいという思いがあり、模索する中 で「医療デバイスにおけるサイバーセキュリティ」という領域に課題を発見したという。

 「医療用デバイス(IoMT: Internet of Medical Things)のセキュリティは、患者の生死に直結 する非常に重要な課題です。しかし、医療用デバイスの OS は多岐にわたり、機器の処理能力も限ら れているため、既存のサイバーセキュリティソフトなどでは簡単に解決できないことが分かりました。 そこで、8200 部隊に所属していた頃からの友人と会社を立ち上げ、技術的にも大きな挑戦に挑む ことにしました」と Natali Tshuva 氏は述べた。

図 1. モニタリングのイメージ(同社 HP より)


あらゆる IoT デバイスにインストール可能


 Sternum の最大の強みは、あらゆる IoT デバイスに同社のセキュリティソリューションを埋め 込むことが可能な点にある。OS よりも下層のレベルにプログラムを「埋め込む」ことで、OS の種類 や CPU の処理能力に依存せず、文字通りあらゆる IoT デバイスにインストールすることが可能と なった。さらに、OS やハードウェアに影響を及ぼすことなく、サイバー攻撃に対する防御機能が全 て自動的に動作する。

 Natali Tshuva 氏によると、既存のサイバーセキュリティサービ スは、ネットワークをセキュアに保つことを重視してきた。一方、 同社は、考え方を根本から変え、デバイスそのものに焦点を当てた ことで、革新的なサービスを実現できた。


セールスパートナーと協業し、日本進出を狙う


 Sternum は既に IoT デバイスで世界的なシェアを持つ英 Telit と パートナーシップを結んでおり、Telit の製品に Sternum のソリューションをインストールし、 セキュリティを向上させると共に、リアルタイムのモニタリングシステムを SaaS として提供する 予定だ。日本市場についても同様に、協業を希望するセールスパートナーを積極的に探す段階に 来たと Natali Tshuva 氏は述べた。

CEOから日本企業に向けたメッセージ


 革新的なサービスを開発・提供するためには、異なる文化や要素 を掛け合わせることが大切だと考えています。私たちは、物事をミ ックスして新たな価値を生み出すことを愛して止みません。対話の 場は常に開かれていますので、共に協業の道を模索しましょう。

− CEO の Natali Tshuva氏

◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。

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◆ 11月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。

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