【スタートアップ深層】Facetrom -顔写真から個人のプロファイルを作成

June 22, 2020

 毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。 

 

 今回は、Facetrom 社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。 【前編:Eco Fusion - 最適な呼吸法をコーチするデジタルセラピー】はこちら

 

 

※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2020年6月にJETRO Innovationに掲載されました。PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。

Facetrom(https://www.facetrom.com

Mr. Ido Peleg(CEO)

 

 

◆ 顔写真1 枚から、詳細なプロファイルを作成

 

 Facetrom は、異なるバックグラウンドを持つ3 人の共 同創業者によって2015 年設立された。CEO のIdo 氏は 建築家としてのキャリアを持ち、残りの創業者は写真測量 法を学びイスラエル空軍関連の企業に勤めていたり、進化 心理学でPh.D.を修めたりと多様な経験を持つチームで構 成されている。

 今回は、CEO のIdo Peleg 氏に取材を行った。

 

 同社は、たった1 枚の顔写真からその個人の正確なプロファイルを作成することができる技術を開 発した。個人の顔の生物学的な特徴と、実際にその個人が取りうる行動や意思決定との関連を分析す ることで、92%の正確性でプロファイルを作成することを可能にした。この技術を用いることで、 保険や融資サービス市場への進出を目指している。

◆ 顔写真は、もっとも客観的な情報源

 

 Ido 氏によると、アンケートや面接といった従来の調査方法と比較して、顔写真はバイアスが少な いという。「人が物事を判断したり、ある事柄について意見を述べたりする際には、必ず偏りが生じ てしまいます。アンケートや面接では、故意かどうかは別として回答が正確でない可能性がありま す。質問に対して回答者の積極的な参加を前提としている方法では、バイアスを回避することはでき ません(同氏)。」

 

 一方で、Facetrom が解析の対象としているのは顔の生物学的な特徴であるため、笑顔かどうかと いった表情に関する情報は分析対象にならない。これにより個人の主観を排除し、バイアスの影響を 無くすことができる。また、顔写真は色情報を除いたモノトーンで解析されるため、生物学的特徴の 中に肌や髪の色などは含まれないという。さらに、顔写真以外の個人情報(国籍や住所、職業など) は一切用いていないため、プライバシー面での安全性も考慮している。

 

◆ コア技術で保険や金融市場に向けたプロダクト開発を開始

 

 「弊社は現在、シードステージの資金調達を完了し、プロダクト開発に向けてエンジニアや科学者 を雇用していく段階にあります。事業面では、協業パートナーを探しているところです。」とIdo 氏 は述べた。同社が現在重視している市場は、フィンテックをはじめ、融資やローン、保険関連の市場 だ。これらの市場ですでにシェアを獲得している企業が Facetrom と協業することで、より客観的か つ正確な顧客のプロファイルを作成することができると同氏は考えている。

 

 「すでに、複数の国でイノベーションプログラムに参加しており、例えばインドではオートバイの デジタル保険サービスとコラボレーションするなど、保険市場の企業とも協業を始めています(同 氏)。

 

◆ 東南アジア市場への入り口として日本市場を重視

 

 Facetrom のような中東出身の企業が東南アジア市場へ進出するにあたり、日本市場は重要な位置 を占めるとIdo 氏は考える。「日本に拠点を構え、パートナーとなる企業を見つけることで、日本や 東南アジア市場進出の糸口が見えてくると考えています。従って、弊社が探しているのは、すでに顧 客を持ち、市場に精通していて、弊社の技術や性能を組み込むことができるデザインパートナーになりうる企業です。近年のイスラエルと日本の友好関係も影響し、すでに何社かの日本企業と対話を始 めています(同氏)。」

CEOから日本企業に向けたメッセージ

 弊社が目指しているビジョンは、もっともバイアスのない客観的なパラメーターによって人々が判断される世界の実現です。現在、 融資を望んでいても、既存の審査では許可が下りず、前に進めない人々が多く存在します。こういった状況を変えたいという信念を持って、リスクを恐れず飛び込んでいく覚悟が私たちにはあります。

 大きな挑戦ではありますが、「成功/失敗」という考え方は持っていません。全てが「経験」だと思っています。むしろ、挑戦しなかったことに後悔するでしょう。

− Ido Peleg氏

 

◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。

◆ PDF版の記事ダウンロードはこちら

◆ 6月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。

 

【前編:Eco Fusion - 最適な呼吸法をコーチするデジタルセラピー】はこちら

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