【スタートアップ深層】ContinUse Biometrics - 触れることなく心拍数やストレスレベルを測定できる新技術を開発
毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。
今回は、ContinUse Biometrics 社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。 【前編:Inuitive - 世界最高レベルの画像処理チップで「低価格・低消費電力・小型化」を実現】はこちら
※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2020年2月にJETRO Innovationに掲載されました。PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。
ContinUse Biometrics(https://www.cu-bx.com)
Mr. Eran Hochdtadter(Head of Business Development, Industrial Affairs)
触れることなく心拍数やストレスレベルを測定できる新技術を開発
イスラエルのテルアビブに本社を置くContinUse Biometrics社(以下:ContinUse)は、人間に触れることなく、心拍数や呼吸を測定できるセンサーを開発している。同社は、独自の光学技術を用いて開発したレーザーを人体に照射することで、ナノレベルの振動を検出可能にした。この技術によって、心拍数や心臓の鼓動、呼吸リズム、血圧といった生体情報が測定できる。さらに、心拍数の変化を分析することで、対象者がリラックスしているか、ストレスを感じているかなどをリアルタイムで推測することが可能だ。
今回は、ビジネスデベロップメントを統括する Eran Hochdtadter氏に取材を行った。
「弊社が開発するセンサーの特徴は、非接触型で高い解像度を持つことです。計測対象に触れる必要がなく、約1メートル離れた位置からでも計測ができるため、常に身につけておく必要があるウェアラブルデバイスとは一線を画します。」とEran氏は述べる。 「テレビやパソコンの画面など、日常的に使用するデバイスに取り付ければ、測定のためにセンサーを意識する必要はなくなり、気にせず日常生活を送ることができるようになります(同氏)。」
また、測定できるデータの解像度が高いことも強みだ。同社によると、心臓の弁が開閉する振動も検出可能だという。独自の光学技術と分析アルゴリズムを組み合わせることで高解像度化を実現した。
はじまりは、大学からのスピンアウト
ContinUseでCEOを務めるAsher Polani氏は、過去に複数の企業を立ち上げた経験があるシリアルアントレプレナーだ。同氏が新規事業の中核を担うテクノロジーを探していたところ、旧知の間柄であった2人の大学教授と意気投合して立ち上げたのがContinUseだった。2人の教授は、バルイラン大学(イスラエル)とバレンシア大学(スペイン)で光学研究に携わると同時に、ContinUseのCTOおよび主任科学者を務めている。
非接触で簡単な体調モニタリング(同社HPより)
モニタリングのあり方を変える:ターゲットは高齢者と運転手
ContinUseが目指しているのは、ユーザーが意識する必要のないシームレスなモニタリング環境の実現だ。同社のセンサーは対象に触れることなく測定が可能なので、衛生的であると同時に、「付け忘れてしまった」ということがない。また、医療機器と同レベルの安全性・正確性を追求しており、2020年内にFDAの承認取得を目指している。
これらの強みを生かして、高齢者のヘルスケアや自動車の車内モニタリングといった分野へ進出するのが狙いだ。 高齢者のヘルスケア領域では、心拍数や血圧を定期的かつ自動的に測定し、必要に応じて担当医師や家族にアラートを送ることが可能になる。測定機器を付け忘れていた、ということは起こらないので、確実にケアすることができる。
一方、運転席の上にセンサーを設置すれば、自動車の車内をモニタリングすることができる。例えば、運転手が感じている快適さを数値化することができるほか、寝ているか起きているかを判断してアラートを出すといったセーフティシステムへの応用も考えられる。
CEOから日本企業に向けたメッセージ
ContinUse Biometricsは、オートモーティブやヘルスケア分野を牽引する日本企業と協業できることを楽しみにしています。 健康管理における弊社の革新的なモニタリングおよびトラッキングシステムは、社会に変革をもたらすことができるテクノロジーの一端を担うことができると考えています。
◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。
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◆ 1月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。
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