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イスラエル人がカルチャーショックを受ける日本のビジネス文化


今週のブログは、イスラエル人と日本人の意識の違いについて書いてみたい。

というのも、先週イスラエルに行っている間に某イスラエル企業からとある相談と依頼を受け、改めて両者の違いについて考えさせられたからである。

もちろんその内容は極秘で公表できないが、すでに法的問題にまで発展している案件だ(だからこそ毎度ながら私に相談が来るのだが……)。しかし話を聞いて紐解いてみれば(これも毎度のことだが)、原因は相互のビジネス環境認識の違いやミスコミュニケーションにあるとわかる。

しかも、このイスラエル企業は日本人との付き合いが初めてというわけではない。実に10年以上も日本企業と密接な付き合いを続けてきた会社なのだ。

にもかかわらず、つい最近になってお互いに認識にズレがあることや、話がかみ合っていないことが発覚したというのだ。

いわば両者は熟年離婚間近の夫婦のようなものだ。性格の不一致により関係の破綻に直面している。

10年以上寄り添いながら会話のキャッチボールがうまくできず、互いに理解が深められていなかったのである。

普通の感覚では「え、本当にそんなことがあるの?」と思われるかもしれないが、長年海外事業を担当していると、同じような話に出くわすことは珍しくない。

まさに恋愛関係や夫婦関係に似た問題であり、解決に向けても同じプロセスをたどる必要がある。

もう一度やり直す余地はあるのか、もう破綻しているのか、お互い何もなかったかのように過ごしていくのか……。

今回の案件がどう進んでいくかはさておき、こうした不一致が起こるそもそもの原因は、イスラエル人と日本人の意識やビジネスカルチャーが全く異なるということを軽視していることにあると思うのだ。

そこで日本人にはおなじみだがイスラエル人は飛び上がって驚いてしまうであろう日本のビジネスカルチャーについて列挙してみよう。

  • 年功序列(Hierarchy by age and title)

  • 威厳/権威を見せる(Executive presence, Show dignity)

  • 誠意を見せる(Prove sincerity, Show respect even to ones against you)

  • 敬意を示す(Being respectful for honor)

  • 根回しをする(Pre-negotiation)

  • なあなあに納める(Let things pass away by making situation vague)

  • 無駄な争いを避ける(Avoid wasteful confrontation)

……どうだろうか。「そんな特別なことじゃないでしょ?」というものばかりが並んではいないだろうか。

われわれ日本人のビジネスシーンでは日常的に見られるもので、自然とそうした振る舞いをしているのではないかと思う。しかし、イスラエル人からするとまるで宇宙人というほど不思議に見えるのだ。

わかりやすいものを並べたが、こうした両国の意識のギャップは言い出すときりがない。

ビジネスを進めるにあたり、こうした”独特”なビジネスカルチャーをきちんとイスラエル側にも理解してもらわないと、ちょっとしたズレの積み重ねで互いの関係は崩れていくのである。

私も、Viber(バイバー)時代にはこの点に非常に気を遣っていた。

CEOのタルモンやCOOのマイケルにきちんと理解してもらおうと、日本のビジネスカルチャーやコミュニケーションの癖について丁寧に伝えるようにしていた。

相当骨が折れる作業ではあったが、イスラエルスタートアップの人達と良いパートナーとしてビジネスを進めていく上では必要なことである。

私は20年近くクロスボーダー、海外事業開発を専門にキャリアを積んできた。ビジネスで接してきた国も30~40か国に及ぶ。

手前味噌ではあるが、外国人とのビジネスにおいて必要な振る舞いや考えるべきことについては、よく理解しているつもりだ。

その私が感じる日本のビジネスカルチャーの対極にある国こそイスラエルである。うまく付き合っていくのが大変でないわけがない。

しかし時間をかけてパートナーとして良い関係を築けたときには、それは永遠に続くものとなる。

似ていないもの同士が互いを理解し、尊重し、深い絆で結ばれるー私もビジネスを通じて、そうした出会いや関係構築のお手伝いが出来たら嬉しい限りだ。


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