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2021年にイスラエルのハイテク企業の買収に費やされた資金額は95億ドルに上る



これはファンドへの投資やユニコーン企業の増資に関する話ではない。年初来で86社のイスラエルの民間ハイテク企業が買収されており、その買収額の合計は100億ドルに届きそうであるということだ。これらのディールの約3分の1は、買収する側の企業もされる側の企業もともにイスラエルの企業、というディールとなっており、イスラエルの産業界の強さを示していると言える。また、年初からのプライベート資本市場を通じた資金調達額は210億ドル、ディール件数は615件となっている。さらに、20社が米国株式市場に新規上場しており、それによる資金調達額は112億ドルとなっている。


メディアにほとんど注目されていないが、年初からのイスラエル企業の買収に要した金額はすでに最高額になっている。昨年のイスラエルのハイテク企業の米国株式市場への新規上場や、1回のディールで数億ドルという巨額の資金が動くプライベート資本市場での資金調達に注目が集まっている一方で、昨年の昔ながらのイグジット案件は注視されていない。2021年の途中で今まで存在していた歴史的な記録が破られたのにもかかわらず、イスラエル企業のイグジットは注目されていないのだ。Mobileye社やMellanox Technologies社のディールのような大規模なものはないが、イスラエル企業のイグジット総額はひそかに95億ドルに達した。


今年に入ってから86社のイスラエル企業が買収されたが、2019年はディール件数67件、ディール総額77億ドル、2018年はディール件数52件、ディール総額40億ドルだった。ディール件数41件、ディール総額61億ドルとなった2020年と比較すると2021年のディール件数と総額は際立って大きい。2020年の数字が小さいのは、コロナ禍でデューデリジェンスの実施が困難だったため、M&A市場がほとんど凍結してしまったからである。

2021年のイスラエル企業のイグジットがあまり注目されなかったのは、発行市場やプライベート資本市場で大規模なディールがなく、小・中規模のディールが大半を占めていたためである。最大のディールはFrancisco Partners社によるMy Heritage社の買収で、ディール金額は6億ドルだった。最近まで3億~5億ドルで会社を売却することは難しかったが、今はあまり珍しい規模感ではないため、6億ドルの買収案件はあまり注目されなかったのである。


買収されるスタートアップ企業の大半は、創業から2,3年しか経っていない、これから本格的にビジネスを始めようとする企業であり、そういった企業にとって買収案を拒否することは困難である。2021年の初頭に、2019年創業のサイバー企業であるBRIDGE CREW社がPalo Alto Networks社に2億ドルで買収されたケースもこれに該当する。Cisco Systems社に5億ドルで買収されたEpsagon社は2018年創業の企業である。

これらのイグジットも含めると、イグジット総額はすでに100億ドルを超えている。今年はイグジット件数のみならず、金額に関しても記録的な1年となるだろう。

(イグジット時に既に上場しており、ディール金額が巨大だったMobileye社やMellanox Technologies社、Frutarom Industries社、Sodastream International社のディールを除く)


「このトレンドは2022年も続くだろう」

2021年が終わるまでの約2か月の間で、いくつかのディールが発生すると考えられるため、ディール総額は100億ドルを超えるだろう。100億ドルという資金のすべてがイスラエル国内に流入するわけではなく、一部は外国人投資家の手に渡るが、過去1年に渡りイスラエル経済を席巻してきた巨額の資金流入に加わることになる。SPACも含めると、今年は20社のイスラエルのハイテク企業が米国で新規上場し、約110億ドルの資金調達を達成している。つまり、イグジットと株式新規公開による資金調達の総額は200億ドル以上になるということだ。結論を言うと、まだ2021年は終わっていないが、すでに400億ドルの資金がイスラエルのハイテク企業に流入したということになる。また、今年は28社のユニコーン企業が新たに誕生した。

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