【スタートアップ深層】Inuitive - 世界最高レベルの画像処理チップで「低価格・低消費電力・小型化」を実現

January 20, 2020

毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。 

 

今回は、Inuitive社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。 【後編:ContinUse Biometrics - 触れることなく心拍数やストレスレベルを測定できる新技術を開発】はこちら

 

 

※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2020年2月にJETRO Innovationに掲載されました。

 

また、PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。

Inutive(http://www.inuitive-tech.com)

Mr. Shlomo Gadot(CEO)

 

 

世界最高レベルの画像処理チップで「低価格・低消費電力・小型化」を実現

 

Inuitive 社(以下:Inuitive)は、画像処理に特化した高性能プロセッサを設計・開発している。Inuitiveのチップが得意としている分野は多岐にわたる。例えば、3DイメージングやAR・VR、さらにはドローンやロボットの「目」としての役割を担うことが可能だ。同社の強みは、高精度の奥行き計測やディープラーニングなどの高い処理能力を必要とする演算を、たった1つのチップの中で完結させてしまう点にある。 

 

画像処理技術は、IoTやロボット、ドローンの発展とともに重要性が増している。今回は、画像処理の根本とも言える技術を開発しているInuitiveのCEOのShlomo Gadot氏に取材を行った。 

  「Inuitiveのチップの特徴は、高い処理能力を有しながら、低価格化・低消費電力化・小型化の3点を実現した点にあります。3次元の計測やAR/VRへの応用はもちろんのこと、自動車やロボットが自立的に移動するために必要不可欠なSLAM(自己の位置推定および周囲のマッピング作成)といった最先端技術を、簡単かつ低コストで利用することが可能になります。」と、Gadot氏は述べる。 

 

同社が設計・開発を手がけているチップは、複数の機能を有するシステムを1つのチップ上に載せる設計手法である「SoC = System-on-a-Chip」を採用している。例えば、画像処理とディープラーニングでは、処理を行う場所が異なる。機能ごとに最適化されたプロセッサを複数搭載することで、遅延を最小限に減らし、処理の高速化を実現している。 

 

さらに、同社はチップの消費電力を大幅に削減することに成功した。単価も大手のチップメーカーと比較すると各段に抑えられているため、低価格帯のデバイスにも高性能な画像処理機能を搭載することができるのが強みだ。 

 

誰もが高度な画像処理の恩恵を受けられる未来を目指して

 

「遠くない将来、カメラなどのセンサーはあらゆるデバイスに搭載されるようになるでしょう。このとき、必要になるのはカメラだけではありません。ARやVRといった機能を実現するために、カメラには高い画像処理能力が求められるようになるはずです(同氏)。」とGadot氏は語った。 

 

今後、IoT機器は、高度なAI機能がインストールされた「AIoT」になっていくと同氏は予測している。そのような未来を見据えた上で同社が目指すのは、スマートフォンやパソコンなどの比較的高価 なデバイスだけでなく、低価格で小型なIoT機器にも搭載可能な高性能チップだ。「弊社がチップだけでなく、種々のセンサーを開発しているのも同じ理由によります(同氏)」。 

 

Inuitiveのチップとカメラが一体となったデバイス(同社HPより)

 

ロボティクス、IoT、AR/VRの領域で日本企業と協業を目指す

 

現在、Inuitiveが開発している製品は、自動運転やロボティクスの領域と、ヘッドマウントディスプレイやスマートグラスを活用したAR/VR領域の2つだ。すでに同社は製品化に成功しているが、OEMやTier1に位置する大手メーカーと提携して製品を共同開発することで、生産規模とシェアの拡大を狙っている。 

 

日本市場への注目も大きい。Gadot 氏は「日本は、ロボティクスの領域において世界でも最も発達している国の1つです。製品の品質はもとより、デザイン面でも非常に優れていると思います。日本企業と協業することで、互いの強みを活かした製品の開発ができると考えています。」と、日本企業との協業への期待を述べた。将来的には、職場や家庭におけるスマートアクセス領域にも進出する予定だ。具体的には、顔の骨格や声紋を識別する機能を活用することで、個人認証を安全かつ高速に行うサービスなどへの応用を見据えている。 

CEOから日本企業に向けたメッセージ

 

イスラエル企業と協業することを恐れないでください。

 

よく「イスラエル人と日本人は対極に位置する」と言われることがありますが、私は、新しいことを恐れないイスラエル人の性質と、一歩一歩着実に改良を重ねていくことが得意な日本人の気質が組み合わさることで相補的に働き、素晴らしい成果をもたらすことができると信じています。

 

 

◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。

◆ PDF版の記事ダウンロードはこちら→

◆ 1月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。

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