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【IVC分析レポート】 イスラエルのハイテク産業における少数派の女性について (後編)

IVCリサーチセンターのデータによるとスタートアップ企業7,100社のうち、女性創業者の会社は7%を占める490社である。シード期では、男性と女性創業者および共同創業者はほとんど同等額を調達するが、取引件数には大きな差がある。

チャート1:男性と女性起業家によるラウンドあたりの資金調達額(単位:100万ドル)

チャート2:男性と女性起業家による資金調達額及び件数

過去17年間で女性創業者は200件の取引件数に対し、男性創業者は2,564件という大きなギャップがある。総合的にみると、女性の創業者や共同創業者は男性よりも少ない資金を調達することがわかる。さらに、企業が成長し次の資金調達に移行するほど、女性の資金調達額が急激に下がる。

この資金調達額のギャップは第1ラウンド後の資金調達の差によるものである(チャート1参照)。第3ラウンドから、女性起業家は存在しないかのようだ。いいかえると、男性が多額の資金を支配している。全体の平均値は資金調達の不均衡を強調する。

2010年まで、IVCは女性の創業者や共同創業者が毎年10件未満の資金調達取引を行っていると指摘したが、2010年以降から着実に増加しているがわかった。IVCは5,628件のファイナンス取引を記録しており、そのうち318件(5.7%)は女性によるもので、そのほとんどがシード期もしくは第1ラウンドであった。

Forbesによると、2017年に米国の男性が調達した97.8%(850億ドル)と比較すると女性が率いるスタートアップは全体のわずか2.2%(19億ドル)の調達であった。これは、イスラエルの状況とあまり変わらないと言える。 女性起業家と創業者の人数の少なさは、富の配分に影響を与えている。

2017年までのエグジットに男性が1,044名関わったことに比べると、女性起業家はたった50人(5%)しか関わっていなかった。この数値は、女性の創業者数に対する割合よりも幾分低い。過去10年のうち会社を設立した女性34人は、同時期に会社を設立した男性562人と比較して成功を収めている(表参照)。

表1:イスラエルの女性起業家による過去最大のエグジット

2017年9月に労働省と財務省のエコノミストが発表したレポートによると、2014年のイスラエルにおけるハイテク産業の従業者約10万人のうち、35%を女性が占めるという。大多数の64%は非技術職であり、賃金の安い職に就いていた。

2017年の現地ヒューマンリソース企業のレポートによると、ハイテク産業の女性従業者は10%減少し、加えて給与も減少していることがわかる。ハイテク産業およびVC分野における少数派となる女性従業者問題は、閣僚レベルでフェミニスト団体によって活発に推進されており、ハイテクカンファレンスでもよく議論の対象となっている。

IVCリサーチセンターによると徐々に女性がハイテク産業やVC分野に進出しているが、依然として男性がこの業界を支配している。過去10年の投資におけるバイアスは、若い男性やハイテク産業にふさわしいと考えられているカジュアルな服装の男性に向けられていた。

問題は、このバイアスがVCにとって良い機会を逃す原因になっているのではないかということだ。


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