【スタートアップ深層】Eco Fusion - 最適な呼吸法をコーチするデジタルセラピー

June 8, 2020

毎年1000社近いスタートアップ企業が誕生するイスラエル。革新的な技術やプロダクトを生み出し、世界から注目を集めているスタートアップの中から、特に「自動車・ヘルスケア・IoT」という3つの領域でイノベーションを起こしている企業に焦点を絞って取材を行った。 

 

今回は、Eco Fusion 社に彼らの創業過程や事業戦略、今後の展望、さらには日本市場への思いや本音を聞いた。 【後編:Facetrom -顔写真から個人のプロファイルを作成】はこちら

 

 

※ 本記事は、JETROのイスラエル現地パートナーとして「Global Acceleration Hub」プログラムの一貫で作成され、2020年6月にJETRO Innovationに掲載されました。PDF版が記事下部よりダウンロード可能です。

Eco Fusion(https://eco-fusion.com

Dr. Oren Fuerst(Founder and Chairman of the Board)

 

 

◆ パーソナライズされたデジタルセラピーでユーザーのストレスを軽減する

 

 Eco Fusion は、個々のユーザーに対して最適化された デジタルセラピーを提供するプラットフォームを開発し ている。ユーザーの健康状態をAI が解析し、一人ひとり の特徴や性質に合わせて、リラクゼーション効果が得ら れる最適な呼吸法をレクチャーする。 今回は、創業者であり取締役会長を務めるOren Fuerst 博士に、現在注目が集まる遠隔医療やデジタルヘ ルスの領域のビジネス機会について取材した

◆ 3 分間のセラピーでストレスレベルを最大20%減少させることに成功

 

図1. アプリによる生体情報のモニタリング(同社HP より)

無料ダウンロード可能(一部有料サービス有り)

 

 Eco Fusion が開発するスマートフォン用 アプリケーションのSerenitaTM は、スマー トフォンのライトに指を当てることで、簡 単にストレスレベルの測定を行うことがで きるサービスだ(図1)。センサーデータ から心拍数や呼吸の変化、血圧といった生 体情報を検出し、ユーザーのストレスレベ ルを数値化することができる。医療分野の 専門家とAI 分野の専門家とで共同開発した 解析技術を用いて実現した。さらに、スト レスレベルを減少させ、リラクゼーション効 果を得るのに適した呼吸法を、ユーザーに合 わせてアドバイスしてくれる。

 

 同社の創業者であるOren 氏は、「3 万人を対象として弊社が行ったプログラムでは、高いストレ スを感じている人のストレスレベルがたった3 分間で20%減少するという結果が得られました。さ らに、数日後もストレスレベルの減少傾向が続いた人が84%を占めていました。」と述べた。

 

◆ ユーザーの特性をAI が学習し、パーソナライズされたセラピーを提供

 

 Eco Fusion の独自性は、ユーザーの呼吸パターンがストレスレベルや集中力の変化とどのように 関係しているかをAI に学習させることで、ユーザーにとって最も効果が高いと考えられる呼吸法を レクチャーすることができる点にある。アプリ画面に表示される「息を吸う→止める→吐く」の指示 に従ってユーザーが呼吸法を実践していくと、ストレスレベルを表す値が更新される。はじめはいく つかの呼吸パターンが提示されるが、やがて最も効果が高かったパターンに落ち着く。 「一般的に、瞑想によってリラクゼーショ ン効果を得たり集中力を高めたりするにはあ る程度の練習が必要です。しかし、Serenita がアドバイザーとなることでこれらを簡単に 実践することが可能です。弊社の役目は、健 康状態のモニタリングだけを行うのではな く、個人にマッチしたセラピーを提供するこ とだと考えています。実際、Serenita を活用 することで血糖値や体重の減少といった効果 が得られることが報告されています(同 氏)。」

 

図2. AI による呼吸レッスンの様子(同社HP より)

 

◆ COVID-19 の影響を受け、遠隔でのメンタルヘルスケアの重要性が増加

 

 同氏によると、メンタルヘルスを良好に保つことは、免疫力の向上に寄与するだけでなく、理性的 な意思決定を促すと考えられており、特に遠隔医療の文脈から近年注目が集まっているという。「例 えば、弊社のサービスをがん治療と組み合わせて、腫瘍の切除手術前に心理面でのケアを行うという 試験的プロジェクトが行われています(同氏)。」

 

 また、糖尿病や高血圧といった慢性疾患の治療は、通院型からより持続性が高く効率的な遠隔型に 変化していくと同氏は予測している。「多くの人々は現在、遠隔療法を求めており、今後も、以前の ような通院スタイルに戻りたいとは考えないと思います。以前は病院で行われていた治療の多くが今 後遠隔に変化していくでしょう。このような状況の変化に素早く対応していかねばなりません(同 氏)。」今後は、弊社のサービスをその他の医療機器と組み合わせる「ジョイント・メディケーショ ン」を戦略として市場を開拓していきたいという展望を語り、話を締めくくった。

CEOから日本企業に向けたメッセージ

 弊社はすでに、米国やイスラエルを中心に世界中の企業や医療機 関と共同開発を行っています。また、弊社に関わりのある研究の共 著者には日本の企業や個人も含まれています。日本国外の企業だか らという理由で恐れを抱く必要はありません。COVID-19 の影響を 受けて、人々の生活スタイルやニーズが大きく変化しようとしてい る中で協業できることを楽しみにしています。

− Eco Fusion CEOの Oren Fuerst 博士

 

◆ 本記事はJETRO Innovationに掲載されました。

◆ PDF版の記事ダウンロードはこちら

◆ 6月は2社に取材を行っており、PDF版では2社まとめて紹介しています。

 

【後編:Facetrom -顔写真から個人のプロファイルを作成】はこちら

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